フロイトは、よく知られるギリシャ神話のナルシサスから連想されるような根源的な一次的自己愛と、いちど発達してから退行することによって生じる二次的自己愛を区別した。前者は自体愛と呼ばれるものであり、身体の各部位にリビドーを備給する幼児期段階において発達する。後者は自我が成立してから発生するものと考えられており、自我にリビドーが備給される事を示している。
フロイトにおいては自己愛は抑うつの理解や精神病の理解として広く考えられた(喪とメランコリー、およびシュレーバー症例)。基本的にフロイトは自体愛―自己愛―対象愛という発達ラインを考えており、そのためにフロイトにおいては自己愛は病的なものとして理解されている。
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のちにコフートが自己愛の正常な発達を主張するまでは、精神分析では自己愛は病的なものとして理解されていた嫌いがある。自己心理学を提唱したコフートはこの精神分析における自己愛の理解を見直す事により自己愛人格障害への理解を深めた。
自己がつねに一貫した存在であるという内的な体験を自己同一性という。エリク・H・エリクソンが規定した自己同一性の定義には、自分による主観的な自己という意味だけではなく、身分証明書にたとえられるような社会や他者が承認する自己、すなわち客観的な現実性を持つ自己も含まれる。民族、家族、会社などどこかの集団に帰属する自己、「○○としての私」を統合するものは自我同一性と呼ばれる。